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2007年のコラム

「身近な存在バイオフィルム」 【2007年12月】

バイオフィルムとは、中に複数の細菌が共存し、固体の表面に引っ付いてできた、粘性のあるフィルム状のものです。

川底の石の表面のヌルヌル。

台所のヌメリ。

そして歯や入れ歯につく歯垢(プラーク)はバイオフィルムの代表的存在です。

細菌達はフィルムの内側で暮らしている訳ですから、抗生物質などの飲み薬やうがい薬では、フィルムにはねかえされて中の細菌をやっつけられません。

家庭で出来る撃退方法はまさにブラッシング。

歯肉より上の部分を丁寧に磨くことで物理的にバイオフィルムを除去します。

自分では取りきれない歯周ポケット内のバイオフィルムの除去は、歯医者さんで定期検診時にとってもらいましょう。

「歯科医院での禁煙指導」 【2007年11月】

喫煙が口腔内に及ぼす影響については、以前に書きました。

改めて最近のデータを申しますと、

?歯周病にかかるリスクについて、喫煙者は非喫煙者より4倍高くなる。

?親の喫煙により、子供が受動喫煙することで歯肉のメラニン沈着のリスクは6倍になる。

?受動喫煙によって虫歯ができる危険度が2倍になる。

私たち歯科医師は、予防メインテナンスで患者様と長くお付き合いしていきますが、その中で禁煙の動機付けを繰り返すことで、少しでも禁煙希望者を増やすことができればと考えています。

禁煙して10年もすれば、歯周病になりやすさや歯の喪失危険度、根管治療の予後も非喫煙者と同等のリスクになります。

このデータが、もし禁煙を考えている方の一助になれば幸いです。

「お口のにおいのエチケット」 【2007年10月】

口臭の原因の大部分(8~9割)は、口腔内に原因があるといわれています。

口臭の主な原因物質は、細菌の働きにより主に舌の後ろの方の舌背で発生します。

歯周病にかかっていると、口全体や舌表面の環境変化を引き起こし、原因物質の産生を増強することも分かっています。

このことから口臭予防には、歯垢の除去と舌表面の清掃が第一の選択になります。

ご自分にあったブラッシングを歯医者さんで教えてもらうと同時に、舌の磨き方も練習してみてはいかがでしょう。

朝食後、歯磨き前に一日一回で構いません。

10回程度、舌後方部の舌背を専用のブラシで清掃します。

口臭には心理的な影響も関与してくるため、その場合は他科との連携が必要となることもあります。

「冷たいものがしみる!知覚過敏とは」 【2007年9月】

知覚過敏とは、歯の表面を覆っているエナメル質やセメント質がはがれて、その内側にある象牙質が露出することによって起こります。

原因は様々なのですが、

ストレスによる夜間の歯ぎしりやかみしめ

不適切なブラッシング

飲食、薬剤やプラーク(歯垢)

で溶けるといったところです。

対応としては、ブラッシング等の生活習慣が原因の場合はその改善が第一。

次に薬剤を用いての症状の緩和。

その次に、失ったエナメル質の代わりにセメント等を詰める。

歯肉を移植して、しみる所を覆う外科処置もあります。

最後に、手を尽くしても改善されない場合、神経をとるといった内容になります。

皆さん心当たりはありませんか。

「矯正治療の開始時期は?」 【2007年8月】

子供さんの歯並びで相談を受けるタイミングとして多いのは、永久歯が生えてきて、前歯が窮屈そうに重なっていたり、位置が悪かったりということが分かる6歳~8歳の時期です。

初めての永久歯が生える6歳頃から、すべての永久歯が生えそろう12歳~14歳位までの時期を混合歯列期といいますが、あごが小さくて歯がきれいに並ぶすき間がない場合、拡大装置を使ってあごを広げたり、反対咬合の改善をしたり、発育過程に沿った矯正治療を行うことで、その後の永久歯列の矯正を簡単なものにできたり、永久歯列の矯正自体が必要なくなる場合もあります。

普段から定期健診で歯並びや矯正治療を始めるタイミングをかかりつけの先生としっかり相談しておくことが大切ですね。

 

「寝てる間の歯ぎしりとくいしばり」 【2007年7月】

寝ている時の歯ぎしりというと、ギリギリと大きな音がすると思っている方も多いかと思います。

歯ぎしりの影響が考えられることを患者さんにお伝えした時「誰にも言われたことがないし、していないと思う」と断言される方もいますが、実際音を出さずに歯ぎしりやくいしばりをしているケースもあり、実は気づいてないだけということが多いのです。

歯科医が診ると、歯の歯茎に近いエナメル質が削れていたり、歯列の内側に骨の隆起があったり、歯ぎしりでできる歯のすり減りがあったりします。

起きている時に思い切りかんで出せる力は50~60kgといわれていますが、寝ている時はその2~3倍にもなります。

歯ぎしりがひどいと歯が割れてしまうこともありますので、歯を保護するナイトガードというマウスピース状のものを入れてお休みいただく対処法をとります。

これなら安心して眠れますよね。

「食育とは」 【2007年6月】

私たち歯科医師は、歯の大切さや虫歯、歯周病の予防を呼びかけています。そこで避けては通れないのが、食に関する指導です。ただ単に甘いものを制限するという間食指導だけでは効果はでません。まずは食事そのものの指導が必要なのです。背景には食の欧米化があるのですが、まずは難しく考えず腹持ちのいいご飯食にするという大前提を守ってみてはいかがでしょう。成長期の子供さんがしっかりとご飯(理想は未精製のお米)を食べていなかったら、どこかでカロリーを摂らなければならないわけですから、甘いお菓子やジュースを欲しがるのも当然のことです。パンを主食にしていたら、空腹になるのも早くなります。朝ごはんをちゃんと食べる、飲み物は、水・お茶にする、カタカナ主食は週に2回までにする等、あまり難しく考えず取り組んでみることが大切です。これからは食生活指導に取り組む歯医者さんも増えていくはずですよ。

「団塊の世代の方、お気をつけください」 【2007年5月】

定年を迎える団塊の世代の方が今年から増えていくことが、新聞紙上でも話題になっていますね。生活のパターンの変化は、虫歯や歯周病の進行に大きく関与します。

たとえば変化によるストレスを解消するために間食の機会が増える、合間につい砂糖入りのコーヒーや紅茶をたくさん取りがちになるなどすると、罹患のリスクを高めることになります。

一般的に虫歯のリスクは人生の経過の中で上がったり下がったりするのですが、永久歯の生え始めと並んでハイリスクな時期が、老齢期で歯茎が下がってきて、虫歯になりやすい歯の根の部分が露出する時期だと言われています。

それに加えて食事のパターンが変わると、ほぼ毎月予防処置をしているのに虫歯が進行している、といったケースも起こってきます。私たち歯科医はその方の生活も含めた予防を提案していかなければいけません。

「医療を支えるスタッフのみなさんありがとう」 【2007年4月】

今月は、歯科医院のスタッフをテーマにしたいと思います。

まず国家資格を持つ歯科衛生士さん-患者さんに様々なアドバイスをしたり、歯垢・歯石の除去をしたりするなど、彼女たちはお口の衛生管理のエキスパートです。

次に歯科助手さん-主に歯科医師の治療のアシスタントとしてセメントを練ったり、医院全般の仕事をこなしたりしてもらいます。

他にも重要な医院の顔である受付のかたなど、色々なスタッフが医院を支えてくれています。

彼女たちの活躍なしでは医療は成り立ちません。

彼女たちに歯科の仕事に対してやりがいと楽しさを感じてもらうために、医院側は勤務時間や賃金やお休みなどの条件を整えると同時に、この仕事のすばらしさを伝えてゆくという作業をしないといけません。

歯科医院で働くことがステータスになるように努力したいと思います。頑張ります。

 

「清潔で安心な歯医者さん」 【2007年3月】

卒業シーズンです。

新しい生活をスタートされる方も多いことでしょう。

連載も5年目に入ります。

今月は、歯医者さんの衛生面についてのお話を。

患者さんに使う器具は、滅菌といって高圧高温で細菌やウィルスを死滅させて使用します。

コップ類などはディスポ(使い捨て)にされている医院も多いでしょうか。

術者が使用する使い捨てゴム手袋もスタンダードになりました。

衛生面を厳格に管理していこうと思えば思うほど、手間もコストもかかるものですが、歯科医院を支えてくれるスタッフ達はいつも遅くまで頑張ってくれています。

他にも医院内の掃除や整理整頓など、目に見えるところも見えないところも、来院される方に気持ちよくひとときを過ごしてもらえるように、気を配る点が本当にたくさんありますね。

「インプラント治療とは?」 【2007年2月】

春がもうすぐそこまで来ていますね。皆さんいかがお過ごしですか?

インプラントという言葉をご存知でしょうか。歯を失った場所に、安全性の高いチタンなどの金属でできた人工歯根を埋め込む治療方法です。

入れ歯に慣れない方や、健康な両隣の歯を削ってブリッジにするのは抵抗があるという方等には最善の方法です。

しかしインプラントを成功させるには、術前のしっかりした診断が必要不可欠です(どんな治療もそうですけどね)。

レントゲン写真やCT写真からみて、人工歯根を埋め込むだけの骨が十分にあるのか?

もしなければ骨を作るのか?

かみ合わせが適切な位置に作れそうか?

全身的な疾患はないか?

喫煙はコントロールできるのか?

はみがきの状態は?

など、広範囲にわたる要素を見極めることが重要になります。

「アンチエイジングと歯科」 【2007年1月】

院長も40歳を迎え、ますます興味を持っている言葉にアンチエイジングというものがあります。

日本語で言えば「抗老化」「抗加齢」となり、老化という時計の針の進みを少し遅らせるといったイメージでしょうか。

各専門家がそれぞれの立場で取り組みを始めていますが、ライフスタイルや生きがい、気持ちの持ち方など、非常に広い分野に渡ります。

歯科の仕事も、機能回復のためにかぶせや義歯を作るという処置を行うわけで、それ自体がアンチエイジングと言えるものです。

噛むことで美味しい食事を楽しめ、生き生きとした生活を送れます。

また歯並びを美しくする矯正治療、歯の漂白や前歯を綺麗にかぶせる審美治療など、この分野での歯科の役割はますます広がっていくと思います。

それでは今年もどうぞよろしくお願いします!

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